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Qアノンとグレートアウェイクニング : ポップカルチャーとしての陰謀論 その1

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Qアノンとは何か

コロナウイルス以降、メインストリームメディアでも陰謀論という言葉を聞くようになりました。陰謀論とは、”ある出来事や事件の背後に、隠された目的やたくらみがあり、公にならない組織や人物によってコントロールされている”という考えに基づく現実の眺め方です。陰謀論にも様々な種類があり、都市伝説的なカジュアルなものから、JFK暗殺やダイアナ元妃暗殺のようにテレビ番組で取り上げられるほど有名なものもあります。

そのような陰謀論の中のひとつに、Qアノン現象があります。Qという匿名の人物(アノンとは、英語で「匿名」を意味する「アノニマス」の略)が、政府の事情通しか知り得ないような動向を、海外掲示板4chanに投稿したことから、この現象は始まりました。彼らのメインテーマは、世界には闇の勢力(ディープステート)がいて、トランプ政権が彼らを逮捕し、愛国者たちに栄光をもたらすと言うものでした。

現在、4chanは、すっかりヘルシーなオタク掲示板になっていますが、以前はもっとダークでアンダーグラウンドな雰囲気がありました。Qが小出しにする謎めいた投稿は、少しずつたどって答えが見えて来る様子から「パンくず」と呼ばれ、その「パンくず」を集めて謎を解く人たちは「パン屋」と呼ばれました。

QAnon -Wikipedia

 

Qアノンによる最初の投稿があったのは、2017年10月28日でした。以下のごく短い文章がそれです。そこには暗号めいた言葉が並んでいますが、冒頭にあるHRCとはヒラリー・ロダム・クリントン氏のことで、彼女の逮捕を”リーク”したとされています。

Qアノン first drop 2017-10-28

4chanに投稿された最初のメッセージ。ぱっと見、ちょっと何言ってるか分かりませんが、暗号好きの人に受けたようです。

 

しかし、みなさんもご存知の通り、ヒラリー氏が逮捕されることはありませんでした。インターネットスピリチュアルコミュニティの中で、まるで未来を見通したかのような予言が出され、まんまと何も起きないというのは珍しくないことです。むしろ、毎年レベルで起きています。

しかし、どうしてみんなが盛り上がってしまったかと言うと、いかにも事情通らしい語り口調だったこと、そして実際、Qの投稿の内容が、少しだけ大統領の動向とリンクしていたところです。人間て、事実かどうかはさておいても、すべてを知っているかのように難しい言葉で話す人に対して、簡単に魅了されてしまうのかも知れませんね。

 

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グレートアウェイクニング

ほどなく、Qアノンと言う現象は、4chanを越えて広がるようになりました。Qアノンの投稿が始まった2017年は、バシャールの「2016年秋にすべては変わります」の翌年です。アメリカのスピリチュアルコミュニティも、新しい時代が始まる活発でフレッシュな空気に包まれていました。Qのセオリーが、スピリチュアルコミュニティにヒットしたのも無理はありません。”腐敗に満ちた現状の世界が崩壊し、来るべき新しい世界が訪れる”というのは、定番のセオリーですからね。そして、Qアノンの存在は、当時のスピリチュアルコミュニティの流行を巻き込み、ひとつの壮大なストーリーになりました。それがグレートアウェイクニングです。

グレートアウェイクニング(大いなる覚醒)とは、読んで字のごとくですが、”人類の目覚めの時を迎えている”という考えです。これは決して新しい考えではありませんが、画期的だったのは、古今のウェブサイト上に散らばる膨大なエピソードをひとつにまとめたところ、そして、プレゼンが超めちゃめちゃお洒落だったところです。

下のグラフィックは、そのセオリーの全貌を表した「グレートアウェイクニングマップ」と呼ばれるものです。拡大してよく読むと、カリユガ、ラー文書、5次元、第四密度、ディスクロージャー、QHHT、バシャール、スターシード、ブルーエイビアン、明晰夢など、他にも書ききれないほど、これまでインターネットスピリチュアルコミュニティを賑わせたワードが並んでいます。

Qアノン グレートアウェイクニングマップ

なお、このグレートアウェイクニングマップは、無料ダウンロードも可能です。UFO系の話が好きな人なら、ただ眺めているだけでも、わくわくしてちびるくらい面白いと思います。

このマップを作ったデザインチームは、その他にも、お洒落でためになるグラフィックデザインをがんがん量産しました。たとえば下の図は、アセンションタイムラインを表したものです。人類のスピリチュアルなアップグレードは2018年~2020年までの期間に集中して行われ、ニューアースが完成するのは2024年になるそうです。

Ascension into 5D earth

 

それから、5次元のニューアースと書かれたグラフィックは、そこに行くためにはどのようにエネルギーを使ったらよいかという説明図です。恐れと古い地球の密度の間で揺さぶられながら、喜びに向かって進んでいくことでニューアースに入ると書かれています。

5D new earth

 

Q現象の面白いところは、当初はゴリゴリの陰謀論として始まったにも関わらず、時代のスピリチュアルブームとマッチして、インターネットスピリチュアルコミュニティの中で一大ポップカルチャー化したところです。従来のスピリチュアル界は、互いに相容れないセオリーが乱立し、それぞれ別々の世界観として提示されることが多い状況でした。たとえば、UFO研究とETチャネラーとスターシードが同じテーブルの上に乗せられることは、ほとんどなかったのです。ところが、グレートアウェイクニングは、それらをひとつにまとめ上げることに成功したのです。

そして、ムーブメントがポップになって広がるにつれ、インスタグラムやYouTubeでお洒落ライフをプロモートするインフルエンサーたちも、続々とQへの支持を表明するようになりました。

 

www.insider.com/lifestyle-influencers-using-covid-19-to-spread-qanon-conspiracy-theory-2020-5

「私たちの文化のターニングポイントに立ち会って、この気持ちを隠すことは出来ない」と、Qへの支持を表明するインスタグラムのインフルエンサーたち。- INSIDER(2020/05/15)https://www.insider.com/lifestyle-influencers-using-covid-19-to-spread-qanon-conspiracy-theory-2020-5

 

公平に言って、ここまでの話なら、支持したくなる要素がいっぱいだと思います。楽しそうですからね。スピリチュアルの各セオリーをひとつの地図上に描き直したいとうのは、実は私がメタ通を始めた理由でもあるので、グレートアウェイクニングマップを見た時は嬉しい半分、ちょっと嫉妬しました。くっそー、おしゃれじゃん。欲しい。

グレートアウェイクニングは、当時流行っていたUFO/ET/スターシード系のセオリーと、潜在意識系のセオリーをカバーしているのですが、マップの中に天使やアセンデッドマスター系のスピリチュアルは含まれていません。簡潔に言えば、当時、それは流行っていなかったからなのですが、トランプ大統領が神から遣わされたという点において、天使・マスター系の中でも、より宗教的な人たちもこのムーブメントに参入してきます。その意味で、アメリカのインターネットスピリチュアル界においてはQアノンの登場は、それ以前と以後に時代を分けるくらい大きなムーブメントなんですよ。

まあ、実際、それは言い過ぎかも知れなくて、この話に全然興味がないスピリチュアルピープルも沢山いるんですけど、傍から見ている限りでは、大きなムーブメントです。

 

 

「Qアノンとグレートアウェイクニング : ポップカルチャーとしての陰謀論 その1」への1件のフィードバック

  1. 大きな何か(今回はコロナ)が起こった
    その後って
    こころの中が一時真っ白になると思います。
    今がその時なんだけど
    生まれたてのヒヨコみたいに
    何をみるか(信じるか)が
    極めて重要になってきます。
    3次元の夢から覚めて
    5次元という名の
    3次元の夢に戻らないでほしい。
    だれか他の人ではなく
    自分自身を信じてほしいと思います。

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