最近の心理学や社会学でよくお目にかかる、ヴァルネラビリティ(vulnerability)という言葉。きちんと日本語に置き換えるのが難しく、文脈に応じて「脆弱性、傷つきやすさ」と訳したりするようです。実際のニュアンスとしては、「心の弱さ」、ひいては「心の弱さを見せること」、「自分の弱さを認められること」、「弱くてもいいんだと思える心のあり方」というように、誰もが抱えるデリケートな側面を表します。この概念がいまどのように注目されているのか、ご紹介しましょう。
ヴァルネラブルであること
ヴァルネラビリティの真の意味ってなんだろう。最近、ずっと考えている。
ヴァルネラブルであるということは、ガードを下げるということで、それはリスクを負うことでもある。
完全に自分をさらけ出し、考えや感情を表現することは、傷ついたり、否定されたり、目立ってしまうというリスクを負う。だからこそ当然、抵抗を感じる人も多い。特に男性に顕著なのではないだろうか。
自分の感情をあらわにするのは、社会的にも、両親、友達の意見を聞いても、それは男らしくないということになっている。ひ弱で、女々しいことだというのが、一般的な意見だろう。
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傷つく心の力
ブレネ-・ブラウン博士はヒューストン大学大学院ソーシャルワーク科の教授であり、ベストセラー本『本当の勇気は「弱さ」を認めること』の著者である。
彼女は15年にわたって、ヴァルネラビリティと勇気、自己価値と恥ずかしさの感情を研究してきた。
彼女の研究はメインストリームに乗り、オプラ・ウィンフリーの番組をはじめとした多くのメディアに取り上げられている。Tedでの彼女の講演、「傷つく心の力」は、視聴ランキングトップテンに入っています。ヴァルネラビリティに関して、彼女はエキスパートだと言えるだろう。
ブラウン博士はこう言う。
恥ずかしがりの人々は、弱みを見せるのを避ける傾向がある。その根底には、自分は理解されない、好かれないのではないかという恐れがあり、やがて周囲の人々を遠ざけてしまう。まるで悪循環だ。
確かに自分と、自分の好きなものに忠実でいることは一種の挑戦だ。しかし結果的には、とても意義がある。
つつみ隠さず、ありのままの自分を愛してもらえる可能性があるなら、それは素晴らしいことに違いないからだ。
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「愛されたいカメレオン」でいるよりも、恐れを手放し、ヴァルネラブルになろう
ヴァルネラブルであるということは、受け入れてもらえないという恐れを手放し、本来の自分を見せるということ。これは、あなたの大事な人と深くつながるための方法として、驚くべき効果を発揮する。
絶対にガードを下げない人や、決して本心を見せない人に会ったことがあるだろう。もしかしたら、自分自身がそうだという人もいるかも知れない。彼らは、まるで「愛されたいカメレオン」たち。
周りが言うことに賛成し、周りが好きなことを好きになり、違う意見や反対意見を決して言いません。好かれるため、愛されるため、受け入れられるため、自分の本来の姿や意見を決して表に出さない人たちだ。
ヴァルネラブルであるというのは、ガードを解くことだ。
ディフェンスモードで身構えて、何か言ってくる人を攻撃する代わりに、言われていることにきちんと耳を傾け、認め、あなたの感じていることをシェアする。
自分を守るのをやめれば、他の人から見た自分を客観的に見ることが出来るし、あなたが直視を恐れているのは何なのか学ぶこともできる。
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ヴァルネラビリティを学ぶと起きること
- より誠実になる
- 隠しごとがなくなる
- ガードが低くなる
- 勇気が生まれる
- 本来の自分を発見する
- より高いレベルの自己理解に達する
- 人とつながっているという感覚がつよまる
- 孤独や人との隔たりの感覚が薄れる
- より深い愛情に満ちた関係が気付ける
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ヴァルネラブルになるエクササイズ
これはただ考えているだけでは分からないほど効果的で、ポジティブな変化をあなたの人生にもたらす。ポイントは以下の4つ。
- 自分を見せよう。
- 無条件で、心から愛そう。
- 喜びにあふれた感謝の心を練習しよう。恐怖の瞬間にも、感謝しよう。
- あなたは充分足りていると信じよう。
これを実践するには練習が必要で、はっきり言って最初は特に難しいかも知れない。でもともかくやってみて、あなたを囲む世界がどのように変わっていくか見てみよう。
ありのままのあなたにもっと自信が持てるようになり、愛する人々にもっとつながれるようになることを保証する。
The Amazing Power of Valnerability / CE
4つのエクササイズは、えっ?これだけ?って感じですが、要するに自己防御をやめて、ダメな部分をさらしてもOKな人になろう、そうすると生きやすくなるよ、ってことです。さらに深く知りたい方は、彼女の本を読んでみましょう。